2020/05/06 17:15
NO SHITAKE, NO LIFE
佐倉きのこ園、園長の齋藤勇人です。
千葉県佐倉市の専業農家の長男として生まれ、私で8代目。
私が子供のころは、我が家では、米、野菜、そして原木しいたけを栽培しており、手伝いをよくやっていました。
自家製の米や野菜はみな美味しく大好きでしたが、実はシイタケだけは大の苦手。
特有の臭みや苦味がどうしても好きになれなかったのです。
その後、大学を出て社会人となり農家の仕事をすることもなく、サラリーマンとして働く日々。
そんな私に転機が訪れたのが1993年のある日。
とある縁で、流山でしいたけ栽培をされている入江さんのしいたけを分けていただきました。
気乗りしないながら、恐る恐るそのしいたけを食べてみると…旨い!!
気付くと何個も食べている自分自身に驚きました。
シイタケ嫌いな自分が、こんなに美味しいと思えるしいたけが世の中に存在するとは…
まさに価値観がひっくり返る程の衝撃。
私にとって一生忘れ得ない体験でした。
それからはすっかりその椎茸の虜。
そして、やはり血には抗えないと言うのでしょうか。
すっかり代々農家の血が騒ぎ出してしまい…
「こういう美味しいきのこを自分でも作ってみたい!」
そんな思いが膨れ上がってしまい、
きのこ農家の道へ飛び込む決意をしました!
今思うと、当時すでに妻も子も抱える中思い切った決意ですが…若さですね(笑)。
それからは他の生産者さんにもお話を聞いたり、菌メーカーや農協の担当者に相談しながら
自分の目指すしいたけ栽培に向かって試行錯誤を繰り返しました。
そしてついに、1994年9月佐倉きのこ園開業。
何とかスタートラインに立つことができたのもつかの間、
それからが幾多の困難の始まりでした。
カビや虫の大量発生。
栽培棚の崩壊。
菌床の取引先の倒産。
取り込み詐欺の被害。
原発事故による放射能の風評被害。
発生管理がうまくいかず、夜中までの収穫作業etc...
上げればキリがありません。
正直、こんなに大変なことが分かっていたらあの時、きのこ農家になる決断を出来ていたか…(笑)。
それでもお客様に
「とても美味しかった!」
「ここで椎茸嫌い克服できた!」
「ここのきのこ食べると他のは食べられない!」等と、
こんなに嬉しいお言葉をもらえると、そんな苦労も全て報われてしまうのです。
これからもより多くの人に、「きのこってこんなにおいしかったっけ?」と
思っていただけるように、真摯に栽培に取り組んで参ります。
真心こめて育てた自慢のきのこ、一度食べてみませんか?